前回のブログの中で、幾つか「〇〇ツーリズム」という言葉をご紹介しておりましたが、今回も“〇〇繋がり”(?)のお話です。
皆さんは「〇〇消費」というと、どんな言葉を思い浮かべるでしょう。
こうした言葉は、時代と共に変化する人々の消費行動や消費形態を端的に表すキーワードですが、観光客の消費行動に対しても、これまでに「モノ消費」や「コト消費」といった言葉をよく耳にしてきたのではないでしょうか。
このうち「モノ消費」については、特にインバウンド、さらにその中でも特に数年前の中国人観光客の“爆買い”を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。
この“爆買い”は2015年の新語・流行語大賞にもなりましたし……
ただその勢いは翌年の2016年以降減速していきました。
確かに近年では、中国からの観光客の方たちに以前のような爆買い現象は見られなくなりましたよね。
ちなみにこれは、中国国内における輸入品消費に影響が及ぶようになったことから、中国政府が海外での爆買いにブレーキをかける狙いで、2016年4月8日より海外で購入した商品を中国へ持ち込む際の課税を強化する措置を実施したことが関係したと考えられています。
中国では、国内で販売される輸入品に対して、関税のほかにも“増値税(付加価値税)”がかかり、またお酒やたばこ、宝飾品、高級化粧品、高級時計、ゴルフクラブ、自動車、バイク、クルーザー、ガソリンや軽油といった一部の商品に対しては、さらに“消費税(消費行為税)”がかかるため、海外で直接購入したほうがかなり安くなる場合があり、海外旅行に出かけた機会に自分用にはもちろんのこと、他の家族や親せき、友人知人の分まで頼まれて買って帰ることが多かったのです。
中国からの観光客についてはこのような背景があったと共に、年々日本を訪れる人が増え、またリピーターの数も多くなってきたこともあるのではないかと思いますが、その他の国からの観光客も含めて、外国人旅行者の訪日目的に変化が見られるようになってきました。
そして、“これまでの買い物中心の「モノ消費」から日本ならではの体験を求める「コト消費」へ”と言われるようになりましたよね。
現在では、全国各地のインバウンド向けの観光情報を見ても、本当に様々な体験プログラムが紹介されています。
もちろん秋田県内においても、すでに色々な体験プログラムが考えられていますし、私自身も“秋田(その地域)ならでは”を体験してもらえるコトは本当にたくさんあると、いつものように色々と妄想しています。
そんな中、最近「トキ消費」という言葉を目にしました。
「えっ!?、今度は“コト”から“トキ”なの?」と思い、ちょっと調べてみたのですが、まずこの「トキ消費」というのは、2020年以降に見られるようになった消費者行動を表すキーワードで、「ある特定の場所や時間でしか楽しめないこと」を意味しているという説明されていました。
さらに「トキ消費」には、
1.非再現性:「時間や場所が限定されていて、その瞬間を逃すと同じ盛り上がり・感動は2度と味わえない」という貴重さ、希少さによって行動を促す
2.参加性:単に用意されたコンテンツを消費するだけではなく、消費者自身が主体的に参加するという側面が強い
3.貢献性:集まりやイベントに参加するための行動が明確で、参加した成果が目に見えてわかることで、盛り上がりに貢献していることを実感できる
という3つの特徴があるとされているのだそうです。
さらに最近では他にも、
- 「イミ消費」:商品・サービス自体の機能だけではなく、社会に貢献できるという付加価値に共感して選択する消費
- 「エモ消費」:心を動かされるような体験を含む消費
というキーワードも登場してきているとありました。
そして私は、秋田の観光においてはこれらの「〇〇消費」を提供できるコンテンツがすでに豊富にあるし、また新たに色々と考えられるよなぁーと、再びいつもの……
例えば、県内各地で実施される伝統行事は、まぁ「この瞬間を逃したらもう2度と同じ盛り上がりや感動は味わえない」とまでは言えませんが、それでも1年に1度、その時、その場所でしか見る(感じる、体験する)ことができないのですから、十分な貴重性、希少性がある(「トキ消費」)と思いますし、また自分たちの生活環境の中で体験する機会のない人達にとっては、私たちにとっては特に珍しくもなく、また時と場合によっては嬉しくも有難くもないようなこと(例えば農作業やこれからの季節の雪かきとか)でも、とても新鮮で楽しいアクティビティと捉えることができ、加えて地域住民(農家、高齢者など)を手助けすることにもなる(「イミ消費」)と考えることができるのではないでしょうか。
さらに四季折々の心を奪われるような美しい自然景観や、その地の人たちとの心温まる交流(「エモ消費」)なども、考えたらそれこそ無限に出てきませんか?
こうした「〇〇消費」の視点から現在各地域ですでに考えられている様々なコンテンツを見直してみる、または新たなコンテンツを考える際のキーワードに据えることで、より魅力的な、より喜ばれる内容のものを作り上げることができるのではないかと思うのですが、どんだべが?
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